映画美学校ドキュメンタリー・ワークショップ2025公開講座
ドキュメンタリー映画の次なる可能性にむけて——
映画史の再検証と現在地

2025年5月―10月(全8回)
会場:アテネ・フランセ文化センター

現在、休講中の映画美学校ドキュメンタリー・コースは、映画美学校修了生の作り手たちが中心になり「ドキュメンタリー・ワークショップ」という開講当初(1998年)の名称で再スタートします。まずは、2025年5月より各講師による映画の作品分析と議論を行う全8回の公開講座を開講します。

企画立案/講師:
奥谷洋一郎(映画作家/『ニッポンの、みせものやさん』『ソレイユのこどもたち』監督)
小森はるか(映像作家/『息の跡』『春、阿賀の岸辺にて』監督
大澤未来(映画作家/『廻り神楽』共同監督『海でなくてどこに』監督)
黄永昌(音響・録音・整音/『TOCHKA』整音『彼方のうた』音響)
葛生賢(映画作家・映画批評家/『吉野葛』監督)
遠藤協(記録映像作家・映像民俗学/『廻り神楽』共同監督・プロデューサー)
松久朋加(『街のひかり 深谷シネマ物語』助監督・録音)

ドキュメンタリー・ワークショップの再開にむけて

奥谷洋一郎
(映画作家/映画美学校ドキュメンタリー・コース修了生)

 私たち、現役の映画の作り手で映画美学校ドキュメンタリー・コース修了生有志は、主任講師で映画監督の佐藤真と筒井武文の両氏が体現してきた「作品批評と実作」の両輪を引き継ぎ、現代におけるドキュメンタリー映画表現の可能性を追求するための講座を再開します。
 ドキュメンタリー映画を作ろうとする上で大切なのは、画面に写し取られた映像を見極め、世界の在り方を批判的に捉え直す視点を持つことではないでしょうか。誰もが撮影と編集をして映像を発信することができ、それらが次々に消費されていく今日にこそ、映画制作のプロとアマを問わず、みなが一つのスクリーンの前に集い、古今東西の映画をじっくりと鑑賞し、長時間かけて議論ができる「場」の必要性を私たちは感じています。講座再開へ向けて、まずは講師である映画の作り手たちが制作した映画や講師それぞれが現在において再検証したい映画をより多く鑑賞して、作り手の立場から自作を語るとともに作品に捉えられた映像について開かれた議論をする場を「公開講座」として開講します。
 またワークショップの名の下に、既存の映画だけでなく、現代美術家や写真家など現代の作り手たちが発表している映像作品や他分野の作家とのコラボレーション作品も積極的に読み解いていくことで、これまでの制作方法の限界とこれからの表現方法の可能性を相対的に探ります。今後は、実作を通して受講生と講師が一体となり、未来のドキュメンタリー映画制作にむけた試みを行っていきます。(2025年3月)

■日程(全8回)
※各回当日の13:00から受付、1回聴講券の販売を開始します。
※現在交渉中の作品もあり、当日上映作品が変更になる可能性があります。

2025年5月10日(土)13:30−19:30

第1回 ドキュメンタリー映画に映る風景
司会進行:奥谷洋一郎(映画作家/『ニッポンの、みせものやさん』『ソレイユのこどもたち』監督)
上映作品:『ソレイユのこどもたち』2013、『略称・連続射殺魔』1969
ゲスト講師:山崎裕(撮影監督/『略称・連続射殺魔』共同制作・撮影)

2025年6月28日(土)13:30-19:30

第2回 『草とり草紙』―共同体から個人のまなざしへ
司会進行:小森はるか(映像作家/『息の跡』『春、阿賀の岸辺にて』監督)
上映作品:『息の跡』2016、『草とり草紙』1985、『映画作りとむらへの道』1973
ゲスト講師:波多野ゆき枝(『草とり草紙』製作・スチール・劇中絵)、筒井武文(映画監督/映画美学校講師=予定)

2025年7月26日(土)13:30−19:30

第3回 映画編集の創造性をめぐって 鍋島惇の手捌き
司会進行:大澤未来(映画作家/『廻り神楽』共同監督『海でなくてどこに』監督)
上映作品:『廻り神楽』2017、『渦 UZU』2016、『ゆきゆきて、神軍』1987
ゲスト講師:鍋島惇(映画編集者/『ゆきゆきて、神軍』編集)、ガスパール・クエンツ(映画作家/『渦 UZU』監督)

2025年8月9日(土)13:30−19:30

第4回 映画における音のドキュメンタリー性について
司会進行:黄永昌(音響・録音・整音/『TOCHKA』整音『彼方のうた』音響)
上映作品:『TOCHKA』2008、ほか(=検討中)
ゲスト講師:松村浩行(映画作家/『TOCHKA』監督)

2025年8月23日(土)13:30−19:30

第5回 堀禎一『天竜区』シリーズをドキュメンタリー映画史に位置づける
司会進行:葛生賢(映画作家・映画批評家/『吉野葛』監督)
上映作品:『天竜区』シリーズ(=交渉中)
ゲスト講師:大川景子(映画編集者/『自由なファンシィ』『夜明けのすべて』編集)

2025年9月20日(土)13:30−19:30

第6回 目に見えない文化を記録する―野田真吉・姫田忠義の「映像民俗学」を手掛かりに
司会進行:遠藤協(記録映像作家・映像民俗学/『廻り神楽』共同監督・プロデューサー)
上映作品:『生者と死者のかよい路-新野の盆踊り・神送りの行事』1991、『奥会津の木地師』1976、ほか(=検討中)
ゲスト講師:(=検討中)

2025年9月27日(土)13:30−19:30

第7回 アルチザン宣言―松川八洲雄の仕事
司会進行:松久朋加(『街のひかり 深谷シネマ物語』助監督・録音)
上映作品:『不安な質問』1979、ほか松川八洲雄関連作品
ゲスト講師:まつかわゆま(シネマアナリスト)、筒井武文(映画監督/映画美学校講師=予定)

2025年10月4日(土)13:30−19:30

第8回 シンポジウム
「映画美学校ドキュメンタリー・ワークショップの再開と次なる可能性にむけて」

上映作品:(=検討中)
登壇者:筒井武文(映画監督)、諏訪敦彦(映画監督)、公開講座講師ほか(=検討中)

■先着順/自由席

■受講料

全8回:10000円
1回聴講料:1500円

※全8回の受講証は第1回5月10日(土)の13:00から発行します。
※1回聴講券は各回当日のみの販売となります。

■お問い合わせ・会場

アテネ・フランセ文化センター
東京都千代田区神田駿河台2-11
アテネ・フランセ4F
JR 御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
03-3291-4339(13:00-20:00)

■主催

映画美学校
映画美学校ドキュメンタリー・ワークショップの再開をめざす会

■共催

アテネ・フランセ文化センタ—